独立3年目で言えるのは、独立してすぐの営業って「とにかく人に会わなあかん」って焦るんですよね。僕もそうでした。異業種交流会に3回行って、名刺50枚配って、帰りの電車で「今日はようけ配ったな」って満足してた。
結果? 1件も連絡来ませんでした。
で、次に考えたのが飲み会営業。前職の元同僚や取引先と飲みに行って、「実は独立したんすよ」って話をする。これは名刺50枚よりはるかにマシで、実際に何件か仕事をもらえました。
ところが問題は翌年。飲み会で取った案件の継続率を数えたら、たった20%やったんです。
飲み会営業の「構造的な弱さ」に気づいた日
SI営業10年やってた僕が、独立後にようやく気づいたのは「飲み会で取れる仕事と、資料で取れる仕事は構造が違う」ということでした。
飲み会で決まる案件って、だいたいこういう流れなんです。
- 「最近どう?」→「実はこんな困りごとがあって」→「じゃあ俺やろか?」
- 発注の根拠が「こいつに頼めばなんとかなるやろ」という人間関係
- 提案書もスコープも曖昧なまま着手
一方、資料ベースで取る案件はこう。
- 課題ヒアリング → 提案資料作成 → 見積もり → 合意 → 着手
- 発注の根拠が「この提案内容なら投資対効果がある」という論理
- スコープが明文化されているので、次年度も「同じ枠組みで継続」が起きやすい
正直この月は赤字でした——というのを認めた上で分析したんですが、SI時代に飲み会経由で取った案件の次年度継続率は20%。資料経由は80%。4倍の差がありました。
なぜ「関係性で取った仕事」は関係性で消えるのか
理由はシンプルで、飲み会営業で取った仕事は「相手の担当者個人」に紐づいているからです。
その担当者が異動したら終わり。予算が厳しくなったとき、上に説明する資料がないから「今回はやめとこか」で切られる。つまり、組織の意思決定プロセスに乗っていないんですよね。
逆に、ちゃんと提案資料を出して合意した案件は、担当が変わっても「前年度の提案資料」が社内に残ります。後任が「去年こんな取り組みしてたんですね、今年も継続でお願いします」となる。これが構造で残る仕事の意味です。
資料営業に切り替えた3つのポイント
ポイント1:提案資料に「課題の数値化」を入れる
「御社の営業効率が課題です」ではなく、「御社の営業1人あたりの商談数は月12件で、業界平均18件より33%低い」と書く。数字が入ると、先方の社内稟議で「なるほど、だから外部に頼むのか」と通りやすくなります。
月商ゼロのときに気づいたんですけど、自分の実績が少ない段階こそ「相手の課題の数値化」で勝負するしかない。自分の凄さを語るんやなくて、相手の痛みを数字で見せるんです。
ポイント2:「成果レポート」を納品物に含める
案件が終わったら、成果を1枚のレポートにまとめて納品します。これがそのまま先方の社内報告資料になる。すると翌年度の予算取りのときに「去年これだけ成果出てます」という根拠になり、継続発注につながります。
朝7時にジムで走りながら、前日の案件のレポート構成を頭の中で組み立てるのが僕の日課です。9時の営業稼働前にレポートの骨子ができてると、午後の提案資料もスムーズに進む。
ポイント3:初回提案に「年間スコープ案」をつける
単発の提案書だけ出すと、単発で終わります。初回提案の最後に「仮に年間でご一緒する場合のスコープ案」を1ページ追加するだけで、先方の頭に「継続」の選択肢が生まれます。
大事なのは押し売りにならないこと。あくまで「ご参考まで」のトーンで。僕の場合は「3ヶ月トライアル → 効果検証 → 年間契約」というステップ提案が一番ハマりました。
飲み会営業を「ゼロにしろ」とは言わない
誤解してほしくないのは、飲み会や人脈を否定しているわけではないということです。実際、僕の初案件は前職取引先へのメールがきっかけでした。
ただ、飲み会は「きっかけ」として使い、受注は「資料」で決めるという二段構えにすることで、継続率は劇的に変わります。フリーランス協会の「フリーランス白書2025」でも、安定して案件を獲得しているフリーランスは複数の受注経路を持ち、提案資料の整備が進んでいる傾向が報告されています。
関係性で取った仕事は関係性で消える。資料で取った仕事は構造で残る。これは僕がSI営業10年と独立3年で痛感した、たぶん一番大事な教訓です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 提案資料を作る時間がないのですが、最低限何を入れればいいですか?
A. 最低限必要なのは「課題の数値化」「提案内容」「期待効果」の3要素です。PowerPointで3〜5ページ、半日あれば作れます。テンプレートを1つ作っておけば、案件ごとにカスタマイズするだけなので2回目以降は2時間程度で完成します。
Q2. 飲み会で知り合った人に後から提案資料を送るのは失礼ではないですか?
A. むしろ歓迎されます。飲み会の場で「面白そうですね、資料にまとめてお送りしていいですか?」と聞けば、相手は「ちゃんとした人だな」と感じます。口約束のままフェードアウトするより、はるかに信頼度が上がります。
Q3. 実績が少ない独立初期でも資料営業は通用しますか?
A. 通用します。ポイントは自分の実績ではなく「相手の課題の数値化」にフォーカスすること。業界データや公開情報を使って相手の課題を可視化すれば、実績の有無に関係なく「この人は課題を理解している」と評価されます。
Q4. 資料営業に切り替えてから成果が出るまでどのくらいかかりましたか?
A. 僕の場合、切り替えてから3ヶ月で最初の資料経由案件が決まりました。継続率の差が実感できたのは1年後です。短期では飲み会営業のほうが早く案件が取れますが、1年スパンで見ると資料営業のほうが売上は安定します。
参考文献
- フリーランス協会「フリーランス白書2025」 — フリーランスの案件獲得経路・実態調査
- 才流「営業資料の作成・改善に使える62のチェックリスト」 — 提案資料の構成・改善メソッド
- HiPro「フリーランスの案件獲得方法」 — 高単価案件の継続受注のコツ



