独立3年目で言えるのは、「月商100万を1回出すより、月商30万を12ヶ月連続で出すほうが独立は続く」ということです。

僕は大手SIerで10年法人営業をやって、2024年に独立しました。独立1年目、調子のいい月は月商80万円を超えることもありました。でもその翌月に15万円を切ることもあった。年収換算では会社員時代と同等なのに、毎月の変動幅が大きすぎてメンタルが綱渡り状態。日曜の夜になると「来月の売上、大丈夫やろか」と不安が止まらなくなっていました。

正直この月は赤字でした——と note に書いた月もあります。でも今振り返ると、問題は営業力じゃなかった。売上の「構造」を設計していなかったことが、乱高下の正体だったんです。

フリーランスの収入が不安定になる構造的な理由

フリーランス協会の「フリーランス白書2025」によると、フリーランスが就業上の課題として挙げる項目の上位に「収入が不安定」が常にランクインしています。さらに2026年版の白書でも、収入や社会的信用に対する満足度は依然として低く、3〜4割台にとどまっています。

ここで重要なのは、「収入が低い」ではなく「収入が不安定」という点です。年収ベースでは問題なくても、月ごとの振れ幅が大きいと、人は不安になる。この不安がさらに悪循環を生みます。

  • 不安だから安い案件を焦って受ける → 単価が下がる
  • 安い案件ほど手離れが悪い → 営業時間が削られる
  • 営業しないから翌月の売上が見えない → さらに不安になる

月商ゼロのときに気づいたんですけど、この負のループの入口は「売上が低いこと」じゃなく「売上の構造が単一であること」なんです。

なぜ月収が乱高下するのか——3つの構造的原因

原因1:スポット案件に依存している

独立直後、僕は異業種交流会で名刺を50枚配って、結果は全滅でした。その後、前職のネットワークに切り替えて案件を取り始めましたが、最初に取れるのはほとんどが「単発案件」。1回コンサルして終わり、1つの提案資料を作って終わり。入金があるのはその月だけで、翌月はゼロに戻る。これがスポット依存の構造です。

原因2:紹介のタイミングをコントロールできない

独立1年目、前職同僚からの紹介3件が同じ月に集中しました。その月は月商80万。でも翌月から3ヶ月間は紹介ゼロ。紹介営業は効率がいいけれど、いつ来るかは相手次第。タイミングをコントロールできないのが紹介100%の構造リスクです。

原因3:「忙しい月に営業を止める」クセ

案件が立て込んでいる月は、営業活動をつい後回しにします。納品で手一杯だから仕方ない——そう思っていました。でもこれが3ヶ月後の売上枯渇を招く。毎週月曜10分のパイプライン管理を始めてから気づいたのは、忙しい月ほど3ヶ月先が手薄になっているという事実でした。

売上3層構造の設計——ベース層・ミドル層・スポット層

この乱高下を止めるために、僕がExcelで設計したのが「売上の3層構造」です。考え方はシンプルで、売上を3つの層に分類して、それぞれの役割を明確にします。

第1層:ベース層(月額顧問・継続契約)——生存ラインを守る

ベース層は、毎月固定で入ってくる売上です。月額顧問契約や年間の営業支援契約がこれにあたります。

僕の場合、独立1年目の後半に月額顧問2社(計12万円)と半年契約の営業支援プロジェクト1件(月15万円)を獲得して、月27万円のベース層を確保しました。これだけで生存ライン(月25万円)をカバーできる状態になった。

ベース層の目標は「これだけで生活できる」状態をつくることです。贅沢はできなくていい。家賃と固定費が払えて、朝7時に起きてジムに行って、9時から営業活動を始められる。その最低ラインを固定収入で担保する。

第2層:ミドル層(3〜6ヶ月のプロジェクト案件)——利益を積む

ミドル層は、3ヶ月から半年程度のプロジェクト型案件です。月15万〜25万円の売上が、契約期間中は継続して入ります。

ベース層との違いは「期限がある」こと。だから常に次のミドル層案件を仕込んでおく必要があります。僕の場合、既存クライアントへの成果レポート納品時に、次の四半期の課題をヒアリングして横展開を仕掛ける。これが「仕込みチャネル」として機能しています。

SI営業10年で学んだのは、「飲み会で取れる仕事」と「資料で取れる仕事」の違いです。飲み会で取った案件は次年度継続率20%だったのに対し、資料勝負の案件は80%でした。独立後もこの法則は変わりません。ミドル層は必ず「資料勝負」——成果レポートと提案書で取るようにしています。

第3層:スポット層(単発コンサル・登壇)——変動を許容する

スポット層は、単発のコンサルティングや登壇、ワークショップなどです。金額は変動しますが、ベース層とミドル層で生活と利益を確保しているから、スポット層は「来たら嬉しい」くらいのスタンスでいられる

これが重要なんです。スポット依存だった頃は、スポット案件が来ないと生活が詰む。だから焦って安い案件を受ける。でも3層構造にしてからは、スポット案件の単価を下げる必要がなくなった。待てるようになったから、条件の良い案件だけを選べるようになったんです。

3層構造を実際に組み立てる3ステップ

ステップ1:生存ラインを算出して、ベース層の目標額を決める

まず自分の固定費を全部洗い出します。家賃、光熱費、通信費、保険料、国保、年金、住民税——僕の場合、独立3ヶ月目に固定費の全体像を把握していなかったせいで、住民税と国保の請求が同月に重なり、家賃口座がギリギリになりました。

この経験から、事業用・生活用・納税用の3口座体制を構築し、年間固定支出をExcelで12ヶ月一覧化。生存ライン(月25万円)と黒字ライン(月38万円)を算出しました。ベース層の目標は、この生存ラインを超えることです。

ステップ2:既存クライアントから「月額契約」を1件つくる

ベース層を増やす最短ルートは、新規開拓ではなく既存クライアントとの関係を「月額化」することです。

僕がやったのは、スポットで納品した案件の成果を1枚のレポートにまとめて、「この領域で月次の改善サイクルを回しませんか」と提案すること。先方の社内稟議に使えるフォーマットで成果を可視化すると、翌年度の予算取りにつながりやすい。実際、成果レポートの納品を始めてから、案件の継続率が20%から80%に改善しました。

初回提案に年間スコープ案を1ページ追加するだけで、先方の頭に「継続」の選択肢が生まれます。飲み会はきっかけとして使い、受注は資料で決める。この二段構えがベース層をつくるコツです。

ステップ3:3層の構成比を毎週モニタリングする

3層構造は作って終わりじゃなく、毎週の管理が必要です。僕は毎週月曜の朝10分で、Excelの売上パイプラインシートを更新しています。確定売上・見込み売上・未確定枠の3段階で3ヶ月先までを管理し、ベース層が生存ライン(月25万円)を下回りそうなら、新規の月額契約獲得を最優先にする。

この「曜日固定ルール」で更新を習慣化してから、安い案件を焦って受けることがなくなり、平均単価が改善しました。日曜夜の不安も「月曜にシートを見ればいい」に変わった。数字は嘘をつかない——これは独立して最初に学んだことです。

3層構造の理想的な構成比

僕が現在目指しているのは、以下の構成比です。

  • ベース層(月額顧問・継続契約):売上の40〜50%
  • ミドル層(3〜6ヶ月のプロジェクト案件):売上の30〜40%
  • スポット層(単発コンサル・登壇):売上の10〜20%

独立1年目は正直、スポット層が80%以上でした。それが2年目後半にはベース層とミドル層で80%を超える構成に変わり、月商の振れ幅が明らかに小さくなった。月収80万→15万の乱高下が、30万〜50万の範囲に収まるようになったんです。

この「振れ幅の縮小」が、メンタルの安定に直結しました。売上の額より波の小ささのほうが独立継続には重要——これは身をもって実感しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 独立直後からベース層をつくるのは無理では?

おっしゃる通り、独立初月からベース層を持っている人は稀です。僕も最初の3ヶ月はスポット100%でした。まずはスポットで実績をつくり、3ヶ月後にその実績をもとに既存クライアントへ月額提案する——というステップが現実的です。焦って最初から月額契約を取ろうとすると、安い条件で妥協しがちです。

Q2. 月額顧問の相場はいくらくらい?

業界や業務内容によって幅がありますが、僕のようなSI業界向け営業支援の場合、月額5万〜15万円が相場感です。重要なのは金額よりも「毎月確実に入る」こと。月5万円の顧問が2社あれば月10万円。これにミドル層を加えれば生存ラインに届きます。最低受注単価は事前に数字で決めておくことをおすすめします。

Q3. 3層の比率は厳密に守るべき?

厳密に守る必要はありません。大事なのは「ベース層だけで生存ラインを超えているか」を常に確認することです。ミドル層とスポット層の比率は時期によって変動して構いません。ベース層が生存ラインを下回ったときだけ、アラートを出して対応するルールにすると管理がシンプルになります。

Q4. ベース層の顧問契約が切れたらどうする?

これは僕も独立2年目に経験しました。顧問先の1社が事業縮小で契約終了。ベース層が一気に薄くなりました。このリスクに備えて、ベース層は最低3社に分散させるのが理想です。1社に依存すると、その1社の都合で生存ラインが崩れます。営業チャネルを「自走チャネル(note発信)」「仕込みチャネル(既存横展開)」「保険チャネル(エージェント)」の3本立てにしておくと、1社が切れても補填が利きます。

Q5. 売上が安定したらスポット層は不要?

スポット層は「不要」ではなく「依存しない」が正解です。スポット案件は新しい業界との接点になったり、note のネタになったりと、数字以外の価値があります。ただし、スポット層が売上の50%を超えたら構造が崩れているサインなので、ベース層の強化に動くべきです。

まとめ:売上の「額」より「波」を設計する

独立して3年、僕が一番伝えたいのは、月商100万を1回出すより、月商30万を12ヶ月連続で出すほうが独立は続くということです。派手な数字を追うより、地味でも波の小さい売上構造をつくるほうが、長く独立を続けられる。

売上の3層構造は、別に難しいフレームワークじゃありません。Excelで3つの列をつくって、自分の案件を「ベース」「ミドル」「スポット」に分類するだけ。それを毎週月曜に10分見直す。それだけで、僕の場合は月収の乱高下が止まり、メンタルが安定し、結果的に独立3年目を迎えることができました。

数字は嘘をつきません。まずは今月の売上を3つに分類するところから、始めてみてください。

参考文献