「在職中で平日昼間の面接が入れられないから活動できない」という相談が月10件以上来る。
正直に言う。有給の残日数の問題ではなく、設計の問題だ。「どのパターンで面接を消化するか」を先に決めていないまま応募を始めると、日程調整で毎回詰まる構造になる。
エージェント側の事情を明かすと、面接日程の調整は候補者よりエージェントの方が圧倒的に有利だ。企業の採用担当と日常的に繋がっているため、「この候補者に19時以降の枠を出してほしい」という交渉ができる。在職中の候補者を送り込む際、土曜午前や業務後の枠を確保することは珍しくない。リクルートエージェントの調査では、企業の約7割が業務時間外や休日の日程調整に対応している。
3パターンに絞って、企業が快諾する交渉フレーズとあわせて書く。
「平日昼間しか無理」という思い込みが生まれる2つの構造
なぜ「平日昼間の面接しか受け付けてもらえない」という認識が固まるのか。2つある。
1つ目は、転職サイトから直接応募していること。直接応募では候補者本人が企業と連絡を取る。業務中に電話に出られない、返信が翌日になる、日程のラリーに時間がかかる。こういった体験が積み重なると「平日昼間しか対応してもらえない」という思い込みになる。企業側は対応できる場合が多いのに、候補者側の連絡の遅れが「熱意がない」と判断されて話が止まるケースも多い。
2つ目は、有給を温存しすぎていること。8年のデータを振り返ると、在職中の活動が3ヶ月以上長期化する人に共通点がある。「面接日程が合わなかったら次の会社を探す」という応募の小出しと、「有給を使いたくない」という有給温存の組み合わせだ。1〜2社ずつ慎重に進めていると、選考中に日程が合わないたびに止まる。そのうちに候補者の市場での鮮度が落ち、活動全体がスローダウンする。
有給はある。使っていないだけだ。面接のために有給を使うことは、法的にも道義的にも正当だ。
エージェント8年が見た「面接を消化する3つのパターン」
在職中の候補者が実際に面接を消化している3パターンを解説する。
パターン1:オンライン面接×朝枠・夕方枠(有給消費ゼロ)
一次面接のオンライン対応は、大手・外資系・IT系企業では標準化した。2026年時点では、一次面接の大半がオンラインだ。この形式を使って、朝8時台か19時以降の枠を打診する。
「朝8時台か19時以降でご対応いただけますか」という依頼に、企業の約7割は対応する(リクルートエージェント調査)。特にIT・コンサル・外資系では、在職中の候補者が大多数のため、時間外の面接設定は当然の運用になっている。有給の消費はゼロだ。昼休み(12〜13時)にオンライン面接を入れることもできる。
パターン2:半休を使った集中型面接
対面面接が必要な場合、全日有給ではなく半休(午前または午後)で消化する。午前半休なら8〜13時、午後半休なら13〜18時が使える。
dodaのデータによると、1社の選考を通じた面接回数は平均2.2回(2回が67%、3回が25%)だ。つまり1社あたり半休2〜3回で完走できる計算になる。
ここで重要な戦術が「一斉応募」だ。15〜20社に同時に応募し、書類通過した企業の一次面接を2〜3週間に集中させる。バラバラに応募するより、有給消費量が大幅に減る。面接を分散させるほど、そのぶんだけ調整のコストが増える。
パターン3:エージェント経由での日程一括管理
在職中の候補者がエージェントを使う最大の実利は、日程調整の代行だ。
自力で企業と直接やり取りすると、業務中に電話が取れない、返信が翌日になる、日程確認のラリーが延びる。エージェント経由なら「19時以降か土曜朝でお願いします」と一言伝えるだけで、あとは調整してもらえる。複数社の面接日程を並走させるなら、この形式が断然効率的だ。
ただし、この希望をエージェントに伝えていない候補者が多い。「在職中なので平日業務後か土曜朝希望です」と最初の面談でハッキリ伝えることが前提だ。言わない限り、担当者は標準的な平日昼間の枠で動く。
企業が快諾する日程調整フレーズ(実例3パターン)
自力で企業と交渉する場合、相手が対応しやすい聞き方がある。3パターンを示す。
フレーズ1:希望時間帯を具体的に提案する
「現在在職中のため、平日19時以降か土曜日の午前中にご対応いただけると幸いです。もし難しい場合は、有給で調整できる日もご提示いただければ対応いたします」
ポイントは2つ。具体的な希望時間帯を先に出すこと、難しければ有給でも対応できると付け加えること。相手に全部委ねると「うちは平日のみです」で終わる。
フレーズ2:オンラインを前提にする
「まずはオンラインでのご面談をご希望いたします。平日18時以降または土曜日午前中でご対応いただけると大変助かります」
「オンラインで」と先に明示すると、企業側の「会議室を確保する必要がない」というハードルが下がる。特に一次面接では有効なフレーズだ。
フレーズ3:エージェント経由で一言伝える
「在職中なので、一次面接はオンラインで19時以降か土曜午前でお願いします」
これだけ言えば、あとはエージェントが企業に調整してくれる。複数社を並走させているなら、各社に対してこの一言を最初に伝えておくと日程調整のラグが最小になる。
有給を最小化して面接12〜15回を消化する設計
面接の設計は、最初から「何回有給を使うか」から逆算して組む。
内定1社を取るために必要な面接総数は、複数社への応募を前提とすると平均12〜15回だ(書類通過後の面接合計)。この12〜15回を有給ゼロでどこまで消化できるかを計算する。
現実的な設計はこうなる。一次面接(オンライン×朝夕枠)で有給消費ゼロ。二次以降の対面面接(半休)で半日有給2〜3回。最終面接(対面)で全日有給1回。合計で実質2〜3日分の有給で完走できる。有給残日数が5日以下でも転職活動は十分できる。
市場のレートで言うと、面接日程を理由に転職活動を止めている候補者の機会損失は大きい。転職の最適タイミングは限られているし、日程調整の悩みは設計で解決できる問題だ。設計を先に決め、15〜20社に一斉応募し、エージェントに日程管理を任せる。この3点を組み合わせれば、在職中でも面接は消化できる。
FAQ
在職中であることを企業に伝えてもいいですか?
伝えていい。在職中での転職活動は企業側も想定済みだ。「現在在職中のため日程調整にご配慮いただければ幸いです」と最初に一言添えると、企業側も時間帯の調整に動きやすくなる。むしろ黙っていて後から発覚する方が印象が悪い。
最終面接は必ず対面になりますか?
企業によって異なる。2026年時点では最終面接をオンラインのみで完結させる企業も増えているが、役員・代表との面接になる場合は対面を求めるケースが多い。一次面接時点で「最終は対面ですか」と確認しておくと、有給の計画が立てやすい。
転職エージェントを使わないと日程調整は難しいですか?
難しくはないが手間はかかる。直接応募の場合、企業との連絡窓口は自分になるため、業務中に連絡が取れない時間帯は返信が翌日になりがちだ。複数社を並走させるなら、エージェント経由の方が時間効率が上がる。エージェントには企業との関係を使って時間外枠を取りやすいという構造的な優位性もある。
半休が取りにくい職場でも転職活動できますか?
できる。一次面接をすべてオンライン×朝夕枠にすれば、有給自体が不要だ。最終面接だけのために全日有給を1回取れば、選考を完走できるケースも多い。半休が取れないなら、その分だけオンライン面接を積極的に活用する設計にする。
日程調整の返信が遅れると選考に影響しますか?
影響する可能性はある。特に求人倍率が高い時期は、企業の候補者選考のスピードが速い。打診から3日以上返信が遅れると、他の候補者に枠が埋まって日程が取りにくくなるケースもある。直接応募の場合は「当日中に返信する」を守ることが重要だ。エージェント経由なら代行してもらえるため、このリスクは下がる。
参考文献
- 転職の面接は平均何回? — doda
- 平日の面接は仕事が休めない!在職中の転職活動、面接日程の調整術 — リクルートエージェント
- 転職エージェントは土日や平日夜でも相談できる?忙しい人の進め方ガイド — マイナビ転職, 2026年






