「国の制度」と「岩手県独自の制度」はどこが違うのか
岩手県へのUIJターンで使える支援金は、大きく2系統に分かれる。1つは「国の地方創生移住支援事業」に連動した岩手県移住支援金、もう1つは2026年4月から始まった岩手県独自のいわて若者U・Iターン支援金だ(2026年9月12日時点)。
まず整理しておきたいのは「対象者の違い」だ。
| 制度 | 対象となる移住元 | 年齢制限 | 上限額(単身) |
|---|---|---|---|
| 岩手県移住支援金 | 東京23区在住 or 東京圏在住で23区通勤(5年以上) | なし | 60万円 |
| いわて若者U・Iターン支援金 | 県外全域(東京圏以外も対象) | 40歳未満 | 15万円〜 |
岩手県移住支援金は国の補助金を財源とする仕組みのため、東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)から移住した人でないと対象外になる。一方、いわて若者U・Iターン支援金は岩手県が独自に設けた枠で、東北他県や北海道、関西、九州からの移住者にも門戸を開いている。エージェント側の事情を明かすと、UIJターン希望者の2〜3割は東京圏以外からの移動だ。この人たちが使える枠として、後者の制度が2026年から新たに整備された。
今申請できる制度(2026年9月12日時点)
① 岩手県移住支援金(東京圏向け・最大200万円超)
東京23区在住、または東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に在住で東京23区へ通勤していた期間が直前10年以内に通算5年以上ある人が対象だ。さらに直前1年以上は継続して在住または通勤していることも必要になる。
- 単身移住:60万円
- 世帯移住:100万円
- 18歳未満の子ども加算:1人あたり100万円(2023年4月1日以降の移住から適用)
就職先は「シゴトバクラシバいわて」に掲載された対象法人でなければならず、週20時間以上の無期雇用契約が条件になる。テレワーク移住(移住前の業務を継続)の場合も週20時間以上の勤務が必要だ。申請は転入後3ヶ月以上経過してから、かつ1年以内に、移住先の市町村窓口へ行う。
② いわて若者U・Iターン支援金(2026年4月開始・県外全域対象)
2026年4月から始まった岩手県独自の制度。転入時に40歳未満であることが条件で、東京圏以外からの移住者にも使える点が特徴だ。移住前の居住地が「直前10年間で通算5年以上、かつ直前1年以上継続して県外」であることが必要になる。
- 単身移住(一般):15万円
- 世帯移住(一般):25万円
- 18歳未満の子ども加算:1人あたり25万円
- 18〜26歳加算:5万円
- 女性加算:5万円
- 新卒向け(県外大学等3年以内卒業):基本15万円(各加算あり)
申請期限は転入後1年以内。就業条件は「シゴトバクラシバいわて」掲載の対象法人での週20時間以上の無期雇用が基本だが、市町村ごとに独自要件が設けられている場合もある。転入先市町村の担当窓口に確認するのが最短ルートだ。
③ 地方就職支援金(東京の大学出身者向け)
東京都内に本部がある大学に4年以上在学して卒業・修了した人が対象で、岩手県内の企業に就職(週20時間以上の無期雇用)した場合に就職活動交通費と移住転居費を補助する。
- 就職活動交通費:最大15,200円
- 移住転居費:最大108,000円
卒業・修了から1年以内かつ就業開始から1年以内という期限がある。申請先は盛岡市・宮古市・大船渡市・花巻市ほか全26市町村が実施。
④ UIJターン就職活動費補助(面接交通費の補助)
県外に居住しながら岩手県内の企業への就職活動を行う人に交通費を補助する制度。金額は居住地によって異なり、年度内2回まで利用できる。
- 東北地区(岩手県除く)在住者:5,000円
- 東北地区以外の在住者:10,000円
⑤ いわて産業人材奨学金返還支援制度(資格・学歴のある人向け)
日本学生支援機構の奨学金(第一種・第二種)を借りている人で、岩手県が認定した企業へ就職する場合、奨学金返済額の1/2を県と企業が協働で支援する制度だ。
- 上限額(大学):150万円
- 上限額(大学院):100万円
- 上限額(高等専門学校):70万円
対象業種は製造業・IT・建設・地域未来投資促進法関連・若者女性活躍関連企業など。就職前に支援対象者として認定を受ける必要がある点が重要で、就職後の申請は対象外になる。2026年度の採用枠は120社程度。
⑥ お試し居住・若者向け住宅(移住前後の住宅コスト軽減)
移住支援金ではないが、住宅コストの軽減に活用できる制度もある。
- お試し居住体験:月10,000円で岩手県内の体験施設に滞在できる。移住前の下見期間に使いやすい。
- 若者Wi-Fi県営住宅:18〜39歳向けの低家賃住宅。Wi-Fi環境あり。テレワーカーにも対応している。
申請の順番|どれを先に取ると他が取れなくなるか
市場のレートで言うと、申請の順序を誤ると数十万円単位で損をする。優先すべき順に整理する。
Step 1:転入届の提出(すべての起点)
すべての支援金の起点は「転入届の提出日」だ。移住支援金は「転入後3ヶ月以上1年以内」、若者U・Iターン支援金は「転入後1年以内」という期限が設定されている。この日からカウントが始まる。転入届を後回しにすると支給対象期間が縮まる。
Step 2:就職先が「対象法人」かどうかを内定前に確認する
移住支援金・若者U・Iターン支援金のいずれも、就職先が「シゴトバクラシバいわて」に登録されている対象法人でなければならない。内定を取った後に「未登録だった」となるケースがある。面接を受ける前にリストを確認しておく。
Step 3:奨学金返還支援は内定承諾の前に認定を受ける(順序を逆にすると対象外)
いわて産業人材奨学金返還支援制度は「就職前の認定」が必要な制度だ。就職後に申請しても対象外になる。奨学金を抱えている場合は、内定を承諾する前に担当窓口(019-629-5654)へ連絡する。
Step 4:移住後に支援金を申請(期限を手帳に書く)
- 岩手県移住支援金:転入後3ヶ月以上経過してから、かつ1年以内に市町村へ申請
- いわて若者U・Iターン支援金:転入後1年以内に市町村へ申請
両制度の重複受給可否については、市町村窓口への事前確認が必要だ。東京圏在住で40歳未満の場合、両制度の対象要件を形式上は満たす可能性があるが、自治体によって取り扱いが異なる。
よくある不採択の理由
- 就職先が対象法人リスト外:最も多いパターン。大手転職エージェント経由でも「リスト外の会社に決まった」ケースはある。面接前にリストを確認する。
- 申請期限の超過:「1年以内」の期限を知らずに過ぎてしまう。転入届を出した日からカウントされる。
- 東京圏要件を満たしていない(岩手県移住支援金):「5年以上かつ直前1年以上連続」の両方を満たす必要がある。短期間の東京在住では対象外になる。
- 奨学金返還支援の就職後申請:就職前の認定が必要なことを知らずに就職してしまう。奨学金を抱えている場合は特に注意。
- テレワーク移住者が国の交付金支援を受けていた:国のデジタル田園都市国家構想交付金(地方創生テレワーク型)等で所属企業から資金提供を受けていた場合、移住支援金の対象外になる。
過去の制度(次年度の見通しを立てる参考として)
以下は2026年9月時点で終了または情報更新前の制度だ。類似の制度が次年度に再設される可能性があるため、担当窓口に確認する価値がある。
- いわて若者移住支援金(旧制度):東京圏向けの若者限定の上乗せ支援金。2025年度まで実施されていたが、2026年度から「いわて若者U・Iターン支援金」として対象を拡大・再編された。
- いわてとつながろう!Uターン就活応援助成金:岩手出身の学生がUターン就職活動をする際の交通費補助。2026年9月時点で公式ページが確認できないため、担当窓口(019-629-5587)へ直接問い合わせを。
問い合わせ先
申請や要件の確認は以下の窓口へ。制度改正は年度ごとに行われるため、実際に動く前に現状を確認することを勧める。
| 制度 | 担当窓口 | 電話 |
|---|---|---|
| 岩手県移住支援金・若者U・Iターン支援金 | 岩手県定住推進・雇用労働室 移住定住推進担当 | 019-629-5587 |
| 奨学金返還支援制度 | 岩手県産業人材確保支援室 | 019-629-5654 |
| お試し居住・若者住宅 | 岩手県定住推進・雇用労働室 移住定住担当 | 019-629-5931 |
| 地方就職支援金 | 移住先市町村の担当課 | 各市町村へ |
移住先が決まったら、市町村の移住支援金担当課にも並行して確認するのが効率的だ。市町村独自の上乗せ支援を持つ自治体も存在する。
FAQ
岩手県移住支援金といわて若者U・Iターン支援金は両方もらえますか?
東京23区在住・40歳未満で岩手に移住する場合、形式上は両制度の対象要件を満たす可能性がある。ただし重複受給の可否は市町村によって異なるため、転入先市町村の窓口に事前確認が必要だ(2026年9月12日時点)。
テレワークで岩手に移住する場合も移住支援金はもらえますか?
もらえる。条件は「週20時間以上のテレワーク勤務(原則として恒常的に通勤しない)」かつ「国のデジタル田園都市国家構想交付金等で所属企業から資金提供を受けていないこと」の2点。東京圏要件と申請期限(転入後3ヶ月〜1年以内)は通常と同じだ。
奨学金返還支援は内定後でも申請できますか?
原則できない。いわて産業人材奨学金返還支援制度は「就職前の認定」が必要で、就職後の申請は対象外になる。奨学金を抱えている場合は、内定承諾前に県産業人材確保支援室(019-629-5654)へ連絡するのが先決だ。
「シゴトバクラシバいわて」に載っていない会社には就職できないのですか?
就職自体は自由にできる。ただし移住支援金・若者U・Iターン支援金の給付対象は、同サイト掲載の対象法人に限られる。支援金を受け取りたい場合は、就職先の選定段階でリストを確認する必要がある。
岩手県内のすべての市町村で支援金を受けられますか?
制度によって実施市町村が異なる。いわて若者U・Iターン支援金(一般)は31市町村、同(新卒向け)は12市町村が実施している(2026年9月12日時点)。移住予定地がリストに入っているかを転入前に確認することを勧める。
参考文献
- 岩手県移住支援金の支給【子育て世帯には100万円加算!】(岩手県公式)(2026-09-12 確認)
- いわて若者U・Iターン支援金(令和8年4月開始)(岩手県公式)(2026-09-12 確認)
- 地方就職支援金の支給(岩手県公式)(2026-09-12 確認)
- いわて産業人材奨学金返還支援制度(岩手県公式)(2026-09-12 確認)
- 岩手県の支援制度(岩手県移住定住ポータルサイト「イーハトー部に入ろう!」)(2026-09-12 確認)
- 移住支援金(国の制度解説)(内閣府 地方創生推進室)(2026-09-12 確認)






