転職エージェントを8年やっていると、移住と転職を同時に動かす相談は毎年一定数来る。宮城県への移住転職を検討している候補者から「移住支援金と会社側の採用補助金、どちらも使えますか」と聞かれたのは一度や二度ではない。答えを先に言う。本人が申請する移住支援金と、採用企業が申請するUIJターン助成金は制度として別立てで、申請者が異なる。ただし「同趣旨の補助金との重複不可」の条件がどこまで適用されるかは案件ごとに窓口確認が必要だ。
以下は2026年9月19日時点で公式ページを確認できた情報だ。制度は年度ごとに改定され、予算上限で早期に締め切られることもある。申請前に必ず各窓口に当年度の受付状況を確認すること。
国の枠組みと宮城県独自の設計
移住支援金は国の「デジタル田園都市国家構想推進交付金」を活用した国・県・市町村の共同事業だ。骨格は全国共通で、東京圏からの移住者に世帯100万円・単身60万円を支給する。宮城県が独自に上乗せしているわけではない。
宮城県独自の設計は主に2点ある。ひとつは対象求人の認定仕組みで、「みやぎ移住・交流ガイド」に登録された中小・中堅企業の求人のみが支援金の対象となる。大企業(資本金10億円以上)や大企業に実質支配される法人は対象外だ。もうひとつは採用企業向けの独自助成金「プロフェッショナル人材UIJターン助成金」で、紹介手数料の3分の2・最大300万円という枠組みは国の制度にはない宮城県独自の仕組みだ。
2026年9月19日時点で申請できる制度
① 移住支援金(移住者本人が申請)
支給額は世帯移住100万円、単身移住60万円。18歳未満の世帯員が同時に移住する場合は1人につき100万円が加算される。子ども2人を連れた世帯移住なら最大300万円になる計算だ。
主な条件(2026年9月19日時点)
- 過去10年間のうち通算5年以上かつ直近1年以上、東京23区に在住していた、または埼玉・千葉・東京・神奈川(一部除外地域あり)に在住し23区内に通勤していた
- 宮城県内の対象法人に採用され、週20時間以上の無期雇用契約で就業する
- 宮城県内に5年以上継続居住できる見込みがある
申請先は移住先の市町村だ。仙台市は令和8年度(2026年度)の申請受付をすでに開始している。申請期限は移住後1年以内。予算の上限に達した場合は早期に受付を終了するとどの市町村も明記しているため、移住後は速やかに手続きを進めること。
② プロフェッショナル人材UIJターン助成金(採用企業が申請)
これは移住者本人ではなく、採用した企業側が申請する宮城県独自の助成金だ。採用に際して人材紹介会社を使った場合、その紹介手数料の3分の2(最大300万円/人)が助成される。年度内に最大2人まで申請できる。
企業側の主な要件
- 宮城県内に本社・本店がある中小企業等(資本金10億円以上の大企業は対象外)
- 申請前6ヶ月間に事業主都合の解雇・雇い止めがないこと
- 同趣旨の国や他自治体の補助金を受給していないこと
令和8年度(2026年度)は4月1日から随時受付で、予算がなくなり次第終了する。新規雇用またはお試し就業の開始から1ヶ月以内に申請書を提出する必要がある。問い合わせは宮城県経済商工観光部雇用対策課(022-211-2772)まで。
③ UIJターン就職支援(無料相談窓口)
お金が動くわけではないが、移住前から活用できるのが「みやぎ移住サポートセンター(東京)」と「みやぎジョブカフェ東京サテライト(川崎)」だ。県内企業の求人情報や生活情報の閲覧、相談員への個別相談が無料でできる。みやぎ移住・交流ガイドに掲載された求人は移住支援金の対象求人候補でもあるため、ここで求人を絞り込む動きが効率的だ。
申請の順番:どれを先に動かすか
エージェント側の事情を明かすと、移住転職の支援を全部使おうとするとき、申請順を誤って一方しか取れなかったというケースは実際に存在する。期限と干渉条件の両方に注意が必要だ。
実務的には以下の流れが基本になる。
- 移住前に「みやぎ移住サポートセンター(東京)」や「みやぎ移住・交流ガイド」で対象求人を確認する
- 求人に応募・内定を得た後、当該企業が移住支援金の対象法人かどうかを市町村窓口に事前確認する
- 移住後1年以内に移住先市町村に移住支援金を申請する(仙台市は令和8年度受付開始済み)
- 採用企業は採用から1ヶ月以内にプロフェッショナル人材UIJターン助成金を申請する
③と④は申請者が異なる(本人vs企業)ため、時間的に並行して進められる。ただし、プロフェッショナル人材UIJターン助成金の要件に「同趣旨の補助金を受給していないこと」とある。これが移住支援金と干渉するかどうかは案件ごとに異なる可能性があるため、移住先市町村と県の雇用対策課の両方に事前確認することを強く勧める。
不採択になる理由で多いパターン
移住支援金の不採択で多いのは3つだ。
ひとつ目は対象法人の確認不足。求人票に「移住支援金対象」と記載があっても、法人の登録状況が当年度更新されていないケースがある。応募前に市町村窓口か「みやぎ移住・交流ガイド」で当年度の登録有効性を必ず確認する。
ふたつ目は申請タイミングの遅延。移住後に転職活動が続いたり、住所変更の手続きが後手に回ったりして気づいたら1年が経過していた、というケースだ。1年という期限は見た目より短い。移住が決まったら申請のスケジュールを先に立てる。
みっつ目は雇用形態の不一致。週20時間以上の無期雇用という条件があるため、有期契約や業務委託(フリーランス)では対象外だ。副業・フリーランス形態で宮城に移住する場合は移住支援金は使えない。
過去の制度(次年度の参考に)
みやぎUIJターン起業支援事業は、東京圏からUIJターンで移住し社会課題解決に資する事業を起業する方を対象に、年100万円(補助率2分の1以内)を支援する制度だ。令和6年度(2024年度)の募集実績は宮城県公式ページで確認できたが、令和8年度(2026年度)の募集情報は2026年9月19日時点では確認できなかった。次年度の参考情報として挙げる。最新の受付状況は実施機関の専用サイト(uij.miyagi-sogyo.jp)または022-398-5120(株式会社全力優)に問い合わせること。
問い合わせ先
- 移住支援金全般:移住先の市町村の移住支援金担当窓口(仙台市は雇用対策課)
- プロフェッショナル人材UIJターン助成金:宮城県経済商工観光部雇用対策課 022-211-2772
- UIJターン就職相談:みやぎ移住サポートセンター(東京)・みやぎジョブカフェ東京サテライト(川崎)
- 対象求人の確認:みやぎ移住・交流ガイド(公式)
FAQ
東京23区外に住んでいるが23区の会社に通勤している。移住支援金の対象になるか?
なる。埼玉・千葉・東京・神奈川に在住し東京23区内の事業所に通勤している場合は対象だ(ただし一部除外地域あり)。在住と通勤の両方を通算5年以上(直近1年以上継続)満たす必要がある。詳細は移住先市町村の窓口に確認すること。
フリーランスとして宮城に移住する場合、移住支援金は使えるか?
使えない。移住支援金の就業要件は「週20時間以上の無期雇用契約」だ。業務委託・フリーランス・有期契約は対象外になる。起業形態での移住を検討する場合は、みやぎUIJターン起業支援事業(次年度の受付要確認)が該当するか窓口に問い合わせること。
移住支援金と会社側のUIJターン助成金は両方使えるか?
申請者が異なる(本人と企業)ため制度として別立てだが、プロフェッショナル人材UIJターン助成金の「同趣旨の補助金との重複不可」条件がどう運用されるかは案件ごとに確認が必要だ。両方を視野に入れるなら、移住先市町村と県の雇用対策課の両方に事前確認することを強く推奨する。確認せずに動いて一方しか取れなかった、という話を何度も見てきた。
子どもが2人いる世帯の移住支援金はいくらになるか?
世帯移住(100万円)+18歳未満世帯員2人(100万円×2)=300万円になる計算だ。ただし「予算の上限に達した場合は早期終了」と明記されているため、年度初めの早い段階で申請することが重要だ。2026年9月19日時点では仙台市が令和8年度の申請受付を開始している。
参考文献
- 移住支援金 - 宮城県公式ウェブサイト(2026-09-19 確認)
- 令和8年度の交付申請の受付を開始します - 仙台市移住支援事業(2026-09-19 確認)
- 宮城県プロフェッショナル人材UIJターン助成金事業 - 宮城県公式ウェブサイト(2026-09-19 確認)
- UIJターン就職支援について - 宮城県公式ウェブサイト(2026-09-19 確認)
- みやぎUIJターン起業支援事業について - 宮城県公式ウェブサイト(2026-09-19 確認)






